2013年7月8日月曜日

芸術表象論特講#4


こんにちは。いつのまにか梅雨があけて、うだるような暑さにまいってしまいそうです。

529日におこなわれました、「芸術表象論特講」4回目のレクチャーについて少し報告したいと思います。

今回のゲストは、北澤憲昭先生(本学教授)でした。





北澤先生は2008年から女子美術大学の所属となりました。その前は跡見女子大学に所属して、学部と大学院の美術史の授業を担当していました。

跡見におられるとき、芸大や多摩美で非常勤として教壇に立った経験から、美大で教えたいという思いを抱くようになったそうです。念願かなって女子美の勤務となったわけです。

レクチャーの内容は、物書きの日常についてでした。北澤先生の本職は著述業で、その業績が認められて大学で教えるようになったということです。具体的には、現代美術と日本美術史についての著書が多いのですが、絵画そのものや作家その人というよりは、美術というジャンルが歴史的にどうやって形成されてきたのかということに関心を抱いているそうです。

北澤先生は、1週間のうち3日間が大学でのお仕事です。

それでは、残りの4日間は何をしているのでしょうか。

4日間のうち1日は、跡見女子大学へ出校されます。あとの3日は、主に執筆活動や講演会などにあてられます。わずかな時間での執筆活動。昨年、2冊の書籍を出版され、今年も出版予定の書籍があるなかで、校正刷りのままの状態の本が、そのほかにもいくつかあるそうです。また、2012年に刊行が始まった『日本美術全集』(小学館)の「前衛とモダン(明治時代後期~大正時代)」(第17巻、2014年配本予定)を担当されているため、その図版の選定などの仕事も抱えているとか。

物書きの仕事は、決して楽ではありません。一日中、机に向かっているのですから、不健康です。画家や彫刻家の仕事は身体活動が中心ですが、もの書きは、どれほど長時間、机に向かっていられるかが勝負だということで、北澤先生は、たとえば朝の8時に仕事をはじめて、気づいたら18時だったということもあるそうです。

このようなたとえ話をしてくださいました。探偵小説家志望の青年が、ある大作家を訪ねます。作家は青年を机の前に座らせ、そのまま出かけてしまいました。青年は、いわれるままに作家が帰ってくるのを待って、そこに座り続けていました。夜中になって帰って来た作家はそれをみて、青年の入門を許したそうです。これは、もの書きになるには、どれほど長いあいだ机に向かっていられるかが勝負であるということを表したお話です。座っていることが苦であっては、もの書きだけでなく、調査をすることも出来ないでしょう(調査は資料を机の上に置いて何時間もにらめっこしたりしますので)。

それと、プロになるとはどういうことかを教えてくださいました。

好きで描く(書く)、描きたい(書きたい)、表現したい、作りたいという欲求だけではアマチュアにすぎません。それを実現出来る技術があり、今の状況に対して、歴史に対して、時代に対して自分に何が出来るのか、それを考えてモチベーションを汲み上げるのがプロ。ただし、自分がやりたいことと、やるべきことを分離させてはいけません。自分がやりたいことは、ひとつとは限らないし、いくつかのやりたいことがあるはずです。それとやるべきことが重なるところに自分の仕事を方向づければいいのです。それがプロであり、そういう意識を持たなければ作家とは言えない・・・・と、アドバイスをしてくださいました。


北澤先生の日常を垣間見ることが出来た学生たち。将来を考えるひとつの指針になったのではないでしょうか。

最近の著書
『近代美術の名作150BT BOOKS)』美術出版社、2012
『反覆する岡本太郎 あるいは「絵画のテロル」』水声社、2012
『ラッセンとは何だったのか? ─消費とアートを越えた「先」』
フィルムアート社、2013年 (共著)
『美術のポリティクスー「工芸」の成り立ちを焦点として』
ゆまに学芸選書ULULA92013年(725日刊行予定 


それでは。

2013年6月5日水曜日

芸術表象論特講#3


こんにちは。日差しが強いけど、風がそこそこ心地よいです。

5月15日におこなわれました3回目のレクチャーについて、少しご報告したいと思います。

今回のゲストは、東京都現代美術館学芸員の吉崎和彦さんでした。



現在、東京都現代美術館では「フランシス・アリス展」が開催されています。
この展覧会は、吉崎さんにとって現代美術館に勤務されてから初めてする企画だそうです。

吉崎さんは、大学で美術史(もの派における菅木志雄について)を専攻していました。その後、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ校の大学院へ進学。現代美術論を専攻し、1年間勉強されたそうです。

イギリスの大学院では、社会に出ている人など年上が多く、さまざまな国から学生が集まって来ていたそうです。ディスカッションをする機会が多い中、吉崎さんはあまり話せなかったそうです。

日本に帰って来てからは、コマーシャルギャラリーで仕事をしながら、小さなギャラリーで企画展をするなどの活動をしていました。CAMPにも参加し、展覧会とトークをいかに結びつけるかということを模索されていたそうです。そして、当時南京トリエンナーレのキュレーターをしていた住友文彦氏のアシスタントをし、それから現代美術館の公募試験を受けて入ることになります。

現代美術館は、企画展の学芸員が9人おり、1つの展覧会につき2人とインターンで作業しています。

レクチャーは、フランシス・アリス展を中心にお話ししてくださいました。

フランシス・アリスは、ベルギー出身で現在はメキシコに住んでいるアーティストです。世界各国で作品を作ります。展覧会のためや依頼を受けて作品制作をするということがありますが、フランシスはしばしば自分自身で場所を選んで、さらに資金も調達します。プロジェクトを美術館など場所を限定せずにインターネット上にアップして見られるようにしています。

作品はシンプルにすることを心がけ、プロジェクトを一言、二言で表せるようにしているとのこと。その説明が伝言ゲームのように広められていくことで内容が次第に変化していく、語り手と受けて側の解釈が変わっていくことを面白がっているとのことです。

資金はどのように調達しているのか。それは、プロジェクトを進める過程で描いたペインティングを売ることで解消しているようです。
吉崎さんが、フランシス・アリスを尋ねたときの写真もいくつか見せていただきました。そのなかに、アシスタントをしている看板屋さんがいました。

フランシス・アリスがなぜメキシコにいるのか。それは、徴兵制によって軍隊に入ることを回避するためNGOに応募し、オファーがあったメキシコへ行くことになった、というのがきっかけでした。もともと建築家だったため、先住民の街を再生するプロジェクトに参加します。しかし、そこでおこなったプロジェクトをきっかけに都市計画に対して疑念を抱き、その後アーティストへと転身していきます。さらに、名前を変えてメキシコへ永住し現在にいたります。

展覧会では見ることのできない、フランシス・アリスの一面を知ることができたような気がしました。

今回の展覧会では、1つのプロジェクトに対して、ドローイング・ペインティング・彫刻など、多様なメディアを使用して多角的に見ることが出来るそうです。

長期にわたり開催されますが、1期と2期とは内容が違います。
ご覧になった方も2期目を、まだという方は是非1期目から、鑑賞に行かれてはいかがでしょうか。


フランシス・アリス展
会場:東京都現代美術館
会期:第1期 MEXICO SURVEY メキシコ編
   2013年4月6日(土)− 6月9日(日)
   第2期 GIBRALTAR FOCUS ジブラルタル海峡編
   2013年6月29日(土)− 9月8日(日)
時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
会期により展示内容が異なります。詳細はサイトにてご確認ください

スペシャルサイト
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それでは。

2013年5月23日木曜日

新入生歓迎会!

こんにちは。暑いけど、風が気持ちいいです。

先日、芸術表象専攻では「新入生歓迎会」をおこないました。

主催は、例年通り2年生。買い出しや食材の準備など、前日からおこなっていました。

歓迎会の様子を少し・・・。


 ▲みんなでカンパーイ


▲協力して焼いてます

▲キャベツが多いけど、焼きそばです


写真にはありませんが、2年生が作ったデザートもありました。

学生たちは学年をこえて話をしていました。新入生たちも、最初は緊張していましたが、先輩たちから話しかけられて、じょじょに慣れていたみたいです。

当日は、いろいろとありましたが、立体アート専攻と工芸専攻の方々のおかげで、なんとか開催することができました。ありがとうございました。

芸術表象専攻のみんなは、いろいろと話が出来て、充実した時間を過ごせたのではないかと思います。これからに活かしてもらえればとも思っています。


それでは。

2013年5月21日火曜日

芸術表象論特講#2


こんにちは。夏のように暑い日で、体調面が気になっています。

5月8日におこなわれました2回目のレクチャーについて、少しご報告したいと思います。

今回のゲストは、永田絢子さんでした。



2008年に武蔵野美術大学(以下、武蔵美)の芸術文化学科を卒業し、ギャラリーで働いていましたが、今年の3月から 国際的な文化交流事業を専門に行う機関へ転職されたそうです。

大学3年生の頃に、アートマネージメントをやってみたいと思った永田さん。ギャラリー(TARO NASU)にインターンとして入ります。その後、アルバイト、フルタイムへと昇格し、6年間働きました。

ギャラリーは所属作家のマネージメント業務として作品の売買もおこなうことで利益をあげる、営利優先の場所でもあります。リーマンショックの前後を見て来たことから、ギャラリーやアートフェアという既存の作品売買のシステムではない所でお金を作ることは出来ないのかと考え始めます。そうしたなかで、公的な文化事業機関でのお金の流れを見てみたいということもあり、転職したそうです。


現在、永田さんは、ヨーロッパ、中東、そしてアフリカ地域の文化事業を担当するチームに配属されているそうです。

転職の際に提出した、履歴書・職務経歴書・志望動機を見せてくださいました。


もうひとつ、永田さんの活動として「picniic(ピクニイク)」についてもお話していただきました。

「picniic(ピクニイク)」は、月一回、都内の芝生があるところでピクニックする活動だそうです。学生の頃から、同期と後輩の3人でおこない、今年で6年目に突入するそうです。
誰でも参加でき、参加の際にはおいしいものを持ってくるというのがあるそうです。少なくて3人、多くても10人前後の人数が集まるそうです。

都内で開催するには、こだわりがあるそうです。使用するのは公共の場所です。公共の場所というのにはルールがあり、そのルールは、みんなが使いやすくするためにあるものだけど、逆に縛られてしまって使いにくいものにもなっている。しかし、そこでルールを破るのではなく、その中でどこまで楽しく出来るかということを大事にしているとのことです。

芝生を探してシートを広げているだけで、人が集まる場所が作れる。その場所で集まって楽しんでということが、今はわからないけれど、続けていくことに意味があるんじゃないか、とおっしゃっていました。

最後に永田さんから、気になったらとりあえずインターンでも良いから受けてみる。アートの仕事はポジションもいろいろあり、そういうところに入ると、自分がアートで大切にしたいことが見えてくる。アートと自分の距離が見えてくる。作家志望でも、ギャラリーに入ることで勉強になることもある。というアドバイスをいただきました。

永田さんのお話は、アートの世界で働くことの可能性を広げる内容でした。就職活動をしている学生だけでなく、これから始める学生にも、参考になったと思います。

気になった人は、行動あるのみ・・・・ということですね。

こちらも、チェックしてみてください。



picniic(ピクニイク)


展覧会の企画をされたそうです。こちらも行ってみてください。

佐々瞬 個展「催眠術/話の行方」
会期:2013年5月4日(土・祝) ~5月21(火)
時間:14:00-21:00 (火・水 休み)
会場:HIGURE 17-15 cas
東京都荒川区西日暮里3-7-15
http://hgrnews.exblog.jp/


それでは。 

2013年5月7日火曜日

芸術表象論特講#1

こんにちは。だんだん、暖かくなって・・・たまに暑いなぁと思う日があったりして。そろそろ、連休が近づいて天候が気になるそんな毎日です。

今年度も、「芸術表象論特講」が開講されましたので、ちょっとした報告を書き込もうと思っています。

今年度、4月24日におこなわれました1回目のレクチャーは、blanClassの小林晴夫さんです。



blanClassの前身は、Bゼミと呼ばれる現代美術の学校でした。

Bゼミは、1967年から2004年まで活動し、現在は休講しています。

Bゼミ創設当時は藝大や美大で現代美術を教える体制がまだなく、唯一の現代美術を学ぶ場所で、多くは大学に行く代わりにBゼミを選択した学生だったが、大学や大学院を出た後、もしくは在学中(ダブルスクール状態)、他の仕事をしながらといった現代美術を学びたい人たちのために作られた、現代美術の学習システムでした。また、美大生とかのなかでも、自分の専攻では収まりきらない、もしくは居場所が違うといった学生たちも集まってきていたようです。

小林さんのお父様は、Bゼミの創設者であり、小林さん自身も80年代から学校を手伝い始め、92年頃から本格的に関わるようになりました。2000年、お父様が急逝されると翌年所長へ就任。しかし、徐々に入学者数が減っており、2003年には入学者数が5名ほどになり、経済的に立ち行かなくなりました。お父様との約束で、自分に何かあったら、最低でも3年は続けてほしいということもあり、何とか残っている学生が修了するまでの2004年に休講というかたちをとりました

2005年は記録集をBankARTから出版するための活動となり、2009年に「blanClass」を設立したそうです。

blanClassは入場料を必ず取り(金額はアーティストと一緒に考える)、ちょっとした食べ物も出たりするそうです。

Bゼミの話の後に、これまでの活動から、小林さんのオススメや女子美生・杉田先生のゼミ(旧カリュキュラム「教養ゼミ」)がかつて参加したパフォーマンスなどの映像を見ました。

現在ではそんなに珍しくありませんが、おこなわれているパフォーマンスなどは、Ustreemで配信されています。

2010年に入ってから、ワンナイトでいろんなことをしてみるようになったそうです。同年、現役学生が参加をする「スチューデントナイト」を始めました。女子美の学生も出ているようです。

また、現在は杉田先生が「ナノ・スクール」というのを月一回、金曜日に開催しています。

blanClassではおなじみとされる、眞島竜男さんの作品を紹介してくださいました。眞島さんは夏の衆議院選挙まで毎日踊る《今日の踊り》(YouTubeにて毎日配信中)をしているそうです。探して見てください。

             ▲レクチャーは杉田先生との対談形式でおこなわれました

blanClassについては、サイトにていままでの活動などが見ることが出来ます。これからの予定もわかりますので、興味のある方は参加してみてください。

blanClass Live Art & Archive



それでは。