2013年10月25日金曜日

女子美祭はじまりました!!

こんにちは。台風がまた来ているようなので、心配です。
今年も女子美祭がはじまりました!!

ここでは、芸術表象専攻の展示を少し紹介します。


1号館5階

1年生:157教室
女子美に入学して、最初の女子美祭となります。「毛」をテーマとした学生それぞれの個人制作と、授業で制作したものを展示しています。



3年生:151教室
3年次になると、芸術表象専攻主要の先生2人以外の先生方によって開講される「IDゼミ」に所属します。今回は、丸橋伴晃先生のIDゼミに所属している学生の中から有志5名と、そのゼミ以外の1名の学生による展示となっています。

 ▲この看板が目印です
 ▲床にもアイコンが貼られています


4年生:155教室・廊下
今年、最後の参加となる4年生は、有志による3団体が展示をしています。
教室内では、2名の学生による「女の子の映画鑑賞 番外編 女の子の館」と、1名による「仮装OK!欲望研究会 美祭特別版」です。

 ▲「女の子の館」はピンクのかわいらしいお部屋が作
られており、この中でワークショップをおこないます。
 ▲「欲望研究会」は、ミジメデル神(中央にいる学生)
による美祭特別版のワークショップです。


廊下では、昨年から授業内で始まった「Café5Fの廊下」という活動の記録を紹介しています。
▲この看板が目印です。矢印の方向にカフェがあります。


12号館1階

2年生:1214教室
3学年とは離れた、芸術表象専攻が所有する実技教室にて、2年生は展示しています。
展示タイトルは「芸術表象とはなんぞや?!」です。
学生それぞれによる個人制作の作品展示と、「アート・プラクティス演習」という授業内で制作した作品を展示しています。

 ▲個人制作による展示
▲授業内でおこなったワークショップの作品展示


学年それぞれの展示の詳細に関しては、あえて書きません。是非、直接いらしてください。


それと・・・同じフロアで活動しています、美術教育専攻の学生さんたちの作品もあります。階段の装飾やエレベーター内の装飾も彼女によっておこなわれました。1号館1階部分から2階に上がる際の階段に、細かな装飾がなされていますので、見てください。(階段装飾の5階部分は、芸術表象の学生も展示しています。)


それでは、みなさまのお越しをお待ちしております。


女子美祭2013
杉並・相模原キャンパス同時開催

10月25日(金)〜 27日(日)
10:00~18:00 (展示は17:00まで)
※台風の影響により変更になる場合があります。お越しの際は、女子美HPでご確認ください。

女子美祭2013 相模原キャンパス版HP

女子美術大学HP


2013年10月17日木曜日

芸術表象論特講#12

こんにちは。今年は台風が多いですね。台風一過なのに肌寒い・・・と戸惑っています。
10月9日におこなわれました、「芸術表象論特講」12回目のレクチャーについて少し報告したいと思います。
今回のゲストは、NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター事務局長の山野真悟さんでした。






黄金町は神奈川県横浜市中央区にある町です。戦後、京浜急行の高架下に住居をなくした人々が住み着きました。そこで生活するのに困窮していた人々は飲食店をはじめるようになり、そのうち女性がお客をとる「売春」行為がおこなわれるようになりました。いわゆる「青線」と呼ばれる地帯です。当時は日本人が中心でしたが、しだいにビジネスと化し、海外から女性を連れて来るケースや、不法滞在している外国人などによる売春行為がおこなわれるようになります。
1520平米ほどの2階建ての住居がいくつも並び、1件に2人の女性がいます。1階は飲み屋のようなスペースをしており、2階がそういうことをおこなうスペースとなっているようです。そして、外にひさし(テント)がついていると売春をしているという目印だそうです。20051月まではおこなわれていたそうですが、その後、警察による「バイバイ作戦」によって一斉摘発がおこなわれました。
黒澤明の「天国と地獄」という映画の中で、犯人役の山崎努が警察をまいて逃げるシーンに、当時の黄金町が出てきます。しかし、当時は売春の他にも、麻薬などの犯罪やそういったものの温床地帯であったため、撮影をおこなうことが非常に危険とされ、町並みをセットで再現して撮影されたそうです。そのセットは、当時の状況そのものを再現されていたといいます。

このような環境を深刻な問題としてとらえていた地域では、事態の改善をはかるために、地域住民による協議会が設立されます。協議会は行政・警察などと連携をもち、取り組みをはじめます。そのひとつが、2008年に開催されたアートを生かした新しい町づくりを目指す「黄金町バザール」でした。

山野さんは、福岡にて「ミュージアム・シティ・天神」というアートプロジェクトをおこなっており、黄金町バザールのため2007年にこちらへ来たそうです。

2008年に開催された「黄金町バザール」ですが、これが終わった後にどうするのかと地元の方々から言われたそうです。「黄金町バザール」を開催しているときは人が来るけど、それがないと人がいなくなってしまう。残って続けて欲しい・・・ということで、翌年にNPO法人黄金町エリアマネジメントセンターを設立し、毎年開催することになったそうです。現在スタッフは、山野さんを含めて13名です。

何でもそうですが、「黄金町バザール」はアートだけでは成立しません。大学(横浜市立大学)、地元住民の協議会、行政、警察が協力しています。他の町づくりと違うのは、警察がいるということです。警察という抑止力があることで、町づくりの活動が出来ます。それだけ、まだ危険な所でもあるということです。

「黄金町バザール」は、主に売春をおこなっていた店舗を利用しています。その店舗を市が借り受け、山野さんたちが管理をおこなうというシステムになっています。改修工事をした後にアーティストへ貸し出します。

アーティスト・イン・レジデンスもおこなっており、海外からアーティストを招聘し、こちらからも海外にアーティストを送るということもおこなっています。今年は、2人の日本人アーティストが台湾へ行っているそうです。

アーティストと作品についても、少し紹介していただきました。

また、昨年から「黄金町芸術学校」もはじめたそうです。これは山野さんが以前、福岡で1ヶ月間毎日夕方に開講するアートスクール「天神芸術学校」からきているそうです。その芸術学校を受講していたある学生が、芸術学校を修了した後に仕事を辞めて大学に入学したということがあったそうです。出来れば、そういう人の人生を変えてしまうような、そういうことを黄金町でもやってみたいという思いがあるとのことです。山野さんとしては、スタッフの人たちに本当は受講してもらいたいそうですが、なかなかそうはいっていないようです。アートマネジメント、建築、まちづくりの授業を中心に開講されているそうです。

今回は、「黄金町バザール」を中心にお話をしていただきました。横浜市はアートを通した「創造都市(クリエイティブシティ)」を掲げており、横浜トリエンナーレなどのアートイベントや施設の設立を積極的におこなってきています。黄金町を中心としたアート活動もその一環です。
しかし、アートに関する様々な団体がいて、いろいろなことをしているが、一緒にやっていこうという協調性がないという問題点も抱えているようです。
また、黄金町”バザール”という名前が災いしているのか、展覧会だと思われておらず、まちおこしだと思われていると山野さんはおっしゃっていました。そこには、それぞれが思うアートによる希望が入り組んでおり、複雑に絡み合っているのかもしれません。みんなが、アートに寄りかかりすぎていても、町はよくならず、あくまでも精神的な部分・・・これがおこなわれていればいいのですが、やはりどれだけの経済効果が起きるかという部分ばかりに、考えが向きがちとなっているようです。

学生にとっても、アートとまちづくり(おこし)という問題について考えてみるよいきっかけになったのではないでしょうか。


行ったことがある人も、まだ行っていない人も、ぜひ「黄金町バザール」を見てみてください。


黄金町バザールについて



それでは。

2013年10月2日水曜日

芸術表象論特講#11


こんにちは。寒くなってきたので、そろそろ衣替えかな・・・とか思う日々です。
9月25日におこなわれました、「芸術表象論特講」11回目のレクチャーについて少し報告したいと思います。
今回のゲストは、アーティストであり非建築科のヴィヴィアン佐藤さんでした。



花柄のワンピース姿で登場したヴィヴィアンさん。頭には巨大なカツラをつけていました。

ドラァグクイーンとして、様々なお仕事をされているそうです。

パーティーでは、おいしいお酒や食べ物があるだけでは飽きてしまいます。そうした所で、引っかき回して人と人をつなげることをする。例えば、倦怠期のカップルや夫婦の食事会に呼ばれ、男性・女性のどちらにつく事なく話を聞く。間にワンクッション置くことで流れがスムーズになり、その場が暖まる。そのクッション的な部分、何者でもない、そうした存在が社会でも必要であり、ヴィヴィアンさんやドラァグクイーンの方々が求められることがあるそうです。

しかし、ヴィヴィアンさんは始めから、ドラァグクイーンになりたくて活動していたわけではないそうです。やっているうちに、他の人から「ドラァグクイーンなのではないか」と指摘されたとおっしゃっていました。

活動の幅が広いヴィヴィアンさん。映画などのメディアにも多数出演されているそうです。「釣りバカ日誌13」では、ハマちゃん(浜崎伝助)が宿泊した旅館の従業員として出演(ホタルイカサンバというのを踊ったとか)。20~30分ほどのシーンに対して、2週間も現場に缶詰にされたエピソードを話してくださいました。ここでも、場を和らげる存在として呼ばれていたそうです。

ヴィヴィアンさんは、建築学科の出身でもあります。ヴィヴィアンさんの中では、建築と建物は別として考えているそうです。建物は、学校の校舎や森ビルのようなもの。建築は建物も入るが、哲学とか考え方といったことを含めている。だから、建築を表現するには、踊りでもいいし、インスタレーションでもいい。ヴィヴィアンさんの頭の上にある大きなカツラは、「頭上建築」と呼んでおり、頭という限られたスペースでどうやったら建つかということをしているそうです。なので、カツラは普通、レントゲンを撮影すると何も写りませんが、ヴィヴィアンさんのカツラには構造物がありそこに装飾物があるので、影は写るし重くもなる。ペンだこならぬ「カツラだこ」が出来るそうです。首もいためてしまうほどと、おっしゃっていたので、はたしてどのくらいの重さなのでしょうか・・・。

カツラは、ヴィヴィアンさん曰く「あたしよりもあたしらしい」ものだとおっしゃっていました。カツラを使った展覧会の様子の写真なども見せてくださいました。カツラの展示では、いかに彫刻にならずに見せるか。ヴィヴィアンさんがそこには実際いないけど、まるでいるような、そういった展示にしたともおっしゃっていました。

また、所有しているカツラを壁にびっしりとかけてみた展示もおこなったそうです。そのカツラを組み合わせて、機織りをしてみたそうですが、カツラがカラフルなので、織られていたものも非常にカラフルになり、両端からは織りきれない羽などが出ていて、普通の織物とはまた違ったものになっていました。

実はこのレクチャーの準備のために、ヴィヴィアンさんは授業開始よりも早くから学校へ来ていました。お化粧に40分くらいかかるそうです。この化粧をするということは、顔の上に塗るのだから”別の人になる”ということが、よく考えられます。しかし、ヴィヴィアンさんは、お化粧をすればするほど、裸になっていくと言います。それは表面的なことではなく、内面を変えていく、頭の中が変わっていく時間であると。そして、裸に近づいて、皮膚が完全に裏返しになり、それを通り越して本来の自分に戻るのではないかと言うのです。手を動かすと脳が発達していくと言われていますが、お化粧をするためには手を動かします。この手を動かすというのは、何かを宿らすという事でもあるのではないか。儀式的な事ではないかとおっしゃっていました。

仙台出身のヴィヴィアンさん。東日本大震災がおき、そのために多くのイヴェンとが中止になったことがありました。そんなときも、自分にできることは「女装」することだとし、12日から活動を再開していたそうです。非常時にこそアートが必要であり、そこで役に立たなくてはアートの意味はないとおっしゃっていました。

他にも、活動の写真や卒業制作、アイデアノートも見せていただきました。最後の方では、杉田先生との対話を交えながら、また学生からの質問にも答えていただきました。



一見奇抜に見える格好は、それそのものがアートであり、信念を持って活動されている姿は唇のグロスよりも輝いていました。ドラァグクイーンのこと、建築のこと、そこにある哲学的な思考・・・。多くの要素を含みながらのレクチャーは、少なくともアートに関わっている学生たちにとって、一歩を踏み出す原動力へとつながっていったのではないでしょうか。


ヴィヴィアン佐藤さんのofficial blog

それでは。