こんにちは。熱中症に気をつけながらすごしています。
6月12日におこなわれました、「芸術表象論特講」5回目のレクチャーについて少し報告したいと思います。
今回のゲストは、杉田敦先生(本学教授)でした。
杉田先生は先日、ヴェネチア・ビエンナーレに行かれました。今回は、その報告です。
ヴェネチア・ビエンナーレとは、イタリアにあるヴェネチア(英語ではヴェニス)で2年に1度、開催されている国際展覧会です。最初の開催が1895年と、大変歴史の長い展覧会であり、国際展の原型とも言われています。美術の他に音楽・映画・演劇・建築の部門があり、日本は1952年から国として参加しています(その前からの参加もありますが、国の建物を持ったのはこのときからだそうです)。
この展覧会は国別対抗と言われるように、各国の展示館が存在します。日本も「日本館」と呼ばれる建物を所有し、そこに展示をおこなっています。今年は、この日本館が参加してから初めて「特別表彰」を受けるなど、ニュースでも報道され知っていた学生も多いと思います。
今回の日本館キュレーターは蔵屋美香氏(東京国立近代美術館)、アーティストは田中功起氏でした。蔵屋氏は、女子美術大学を卒業し千葉大学大学院へ進学、学芸員となり数々の展覧会企画をおこなってきました。展示では、前年に開催された建築部門での状態をそのまま利用しています。ちなみに、建築部門で日本は「金獅子賞」を受賞しました。
ヴェネチアは、いろいろな小説や映画の舞台となっているところです。例えばシェイクスピア『ヴェニスの商人』や、映画では『ベニスに死す』などがあり、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。観光地としても有名で、街の中心部分には車や自転車での通行は出来ないそうで、舟が交通手段として用いられているそうです。
55回目をむかえた今回は、150人ほどのアーティストと88の国が参加しました。アーティスティック・キュレーターは、イタリア人のマッシミリアーノ・ジョンニ氏。総合テーマは「エンサイクロペディック・パレス(The Encyclopedic Palace)」、これはイメージ世界の地図を製作することを目指すということらしいです。日本からは蔵屋氏と田中氏以外にも、参加しているアーティストがいたそうです。
レクチャーでは、杉田先生が見てきた作品の写真や動画を、いくつか見せてくださいました。田中氏の作品はもちろん、ピーター・フィッシュリ&デヴィッド・ヴァイスの粘土作品や、落ちてくる金貨の作品、アーティスト部門で金獅子賞を取った作品など、面白そうなものばかりでした。また、展示会場に船を使用しているポルトガル館や、ドイツとフランス館はそれぞれの展示館を交換しているなど、国や場所という概念を超えているのも、考え深いです。
今回のヴェネチア・ビエンナーレは、「アートって何だろう」と思わせるくらい、形が無くなってきていると思ったそうです。例えば、作品として出すときは、完璧なものをと思いがちですが、そうではなく、田中氏の受賞理由にもあるようなのですが、失敗の提示にも意味があるのではないかと考えられるようになってきたのだそうです。また、今まで視野に入らなかったような、形として見えていなかった作品や小さな活動というものが視野に入りだした。つまり、今までのアートの概念を超えて、新しい創造を表現する方法が多様化し、それを受入れる方向にむかっているのかもしれません。
ヴェネチア・ビエンナーレは6月1日~11月24日までおこなっているそうです。
公式ホームページもありますので、興味がありましたらチェックしてみてください。
ヴェネチア・ビエンナーレ公式HP(日本語ではありません)
その他、関連記事などはアート関係の情報サイトにあります。
それでは。
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