こんにちは。学校の周辺にある公園の木々が、秋色に染まって、とてもきれいです。
11月7日におこなわれました、「芸術表象特講」13回目のレクチャーについて、少しご報告したいと思います。
今回のゲストは、アート・ジャーナリストのかないみき氏でした。
かない氏は、現在ドイツのベルリンを拠点にし、現地のアート情報を『美術手帖』などに掲載しています。
レクチャーでは、「ベルリンからのレポート アート・生活・社会」と題して、ドイツベルリンでの7つのアートプロジェクトとスペースついて紹介してくださいました。
①NGBK(Neue Gesellschaft für Billdende Kunst):
1969 年に設立した会員制のアートクラブ。現在の会員数は約800名ほどで、様々な職種の人が会員になっている。会員は、アートそのものに興味があるというよりも、アートを通して社会とのつながりを再構築したり、より良い社会を作るツールとしてのスタンスを持っている。年2回ある総会で、プロジェクトや展示について話し合っている。
②Künstlerhaus Bethanien:
1974年、取り壊しの決まっている歴史のある病院を、政治団体が反対して建物を文化施設として利用したことから始まる。現代美術のためのインターナショナルなプロジェクトや、プレゼンテーションのためのプラットホームとしての運営がなされている。数年前に、すぐ近くに場所を移転した。
③Node:
キュレーターを養成するためのプライベートの学校。授業はすべて英語でおこなわれる。セオリーよりも実践的なことを学べるが、授業期間は3ヶ月間となっている。プログラムの後半には、クラスでひとつの展覧会をベルリンの若手を中心とした作家と共におこなう。
④n.b.k Artothek (Neuer Berliner Kunstverein):
図書館で本を借りるように、ベルリンの住民票があれば誰でもアート作品を借りることができる施設。20世紀から現代の作品まで約4000点ほどを所有している。なかには、有名なピカソやダリ、キリコといった作品もある(大御所の作品は主にプリントやドローイング作品)。アートをプライベートな場所に届けると同時に、作家(ベルリンを拠点にしている)の作品をコンスタントに買うことで、アーティストをサポートする目的を持っている。
⑤Mediations Biennale2012:
9月14日〜10月14日までポーランドでおこなわれていたビエンナーレ。今年で4回目となる。中央ヨーロッパでは最大の規模を誇り、西洋とアジアの仲介としての役割を持っている。異なる国のキュレーターによって作家を紹介している。今年は日本から、森美術館館長の南條史生氏が参加。
⑥ベルリン・ビエンナーレ:
今回で7回目となる展覧会。4月27日〜7月1日までおこなわれていた。「FORGET FEAR」がテーマ。このビエンナーレはいつも、ベルリンの街の歴史的背景から政治色の濃い内容だが、今年はそれが沸点に達したものとなっていた。
展覧会で出品されていた、ベルリン中心部の通りに壁を設置した作品、ナダ・ブルリャの《PEACE WALL》は、この地域にある格差問題を視覚化させ論争を巻き起こした。
⑦TRACK:
街中のアートプロジェクト。このなかで、公園内に隣接されている老人ホームや社交施設を2分の1に縮小したレプリカを木の上に設置した、ベンヤミン・ファードンクによる《フォージェレンザング・パーク17/2》を紹介。この作品は、ベルギーが抱えている住宅問題浮かび上がらせた。会期の半ばから、住宅事情の改善を支援する非営利団体「コミュニティ・ワーク・ゲント」が、郵便局の全面的な協力により、市民から住宅問題に関する質問を手紙で受け取る企画を実施し、ベンヤミンによる架空の家に届けられていた。
同じく、ベンヤミン・ファードンクによるパフォーマンスビデオも見せていただきました。
上記したプロジェクトのなかには、日本でも宝くじの収益金がアート活動(美術館とか)に使われているように、ロトによる助成を受けているものがあるそうです。
ベルリンのアート情報が聞けて大変充実した内容でした。
またベルリンの情報とは別に、レクチャーの最初に見せてくださった、かない氏が中学生のときに作成したノートには、驚きました。展覧会のチケットを貼り、ポストカードを買ってきてその作品について調べたことがまとめてありました。こうしたことが、今のかない氏につながっているのかもしれません。興味があることについて調べてまとめる・・・みなさんも、これからまねしてみてはいかがでしょうか。
それでは。
11月7日におこなわれました、「芸術表象特講」13回目のレクチャーについて、少しご報告したいと思います。
今回のゲストは、アート・ジャーナリストのかないみき氏でした。
かない氏は、現在ドイツのベルリンを拠点にし、現地のアート情報を『美術手帖』などに掲載しています。
レクチャーでは、「ベルリンからのレポート アート・生活・社会」と題して、ドイツベルリンでの7つのアートプロジェクトとスペースついて紹介してくださいました。
1969 年に設立した会員制のアートクラブ。現在の会員数は約800名ほどで、様々な職種の人が会員になっている。会員は、アートそのものに興味があるというよりも、アートを通して社会とのつながりを再構築したり、より良い社会を作るツールとしてのスタンスを持っている。年2回ある総会で、プロジェクトや展示について話し合っている。
②Künstlerhaus Bethanien:
1974年、取り壊しの決まっている歴史のある病院を、政治団体が反対して建物を文化施設として利用したことから始まる。現代美術のためのインターナショナルなプロジェクトや、プレゼンテーションのためのプラットホームとしての運営がなされている。数年前に、すぐ近くに場所を移転した。
③Node:
キュレーターを養成するためのプライベートの学校。授業はすべて英語でおこなわれる。セオリーよりも実践的なことを学べるが、授業期間は3ヶ月間となっている。プログラムの後半には、クラスでひとつの展覧会をベルリンの若手を中心とした作家と共におこなう。
④n.b.k Artothek (Neuer Berliner Kunstverein):
図書館で本を借りるように、ベルリンの住民票があれば誰でもアート作品を借りることができる施設。20世紀から現代の作品まで約4000点ほどを所有している。なかには、有名なピカソやダリ、キリコといった作品もある(大御所の作品は主にプリントやドローイング作品)。アートをプライベートな場所に届けると同時に、作家(ベルリンを拠点にしている)の作品をコンスタントに買うことで、アーティストをサポートする目的を持っている。
⑤Mediations Biennale2012:
9月14日〜10月14日までポーランドでおこなわれていたビエンナーレ。今年で4回目となる。中央ヨーロッパでは最大の規模を誇り、西洋とアジアの仲介としての役割を持っている。異なる国のキュレーターによって作家を紹介している。今年は日本から、森美術館館長の南條史生氏が参加。
⑥ベルリン・ビエンナーレ:
今回で7回目となる展覧会。4月27日〜7月1日までおこなわれていた。「FORGET FEAR」がテーマ。このビエンナーレはいつも、ベルリンの街の歴史的背景から政治色の濃い内容だが、今年はそれが沸点に達したものとなっていた。
展覧会で出品されていた、ベルリン中心部の通りに壁を設置した作品、ナダ・ブルリャの《PEACE WALL》は、この地域にある格差問題を視覚化させ論争を巻き起こした。
⑦TRACK:
街中のアートプロジェクト。このなかで、公園内に隣接されている老人ホームや社交施設を2分の1に縮小したレプリカを木の上に設置した、ベンヤミン・ファードンクによる《フォージェレンザング・パーク17/2》を紹介。この作品は、ベルギーが抱えている住宅問題浮かび上がらせた。会期の半ばから、住宅事情の改善を支援する非営利団体「コミュニティ・ワーク・ゲント」が、郵便局の全面的な協力により、市民から住宅問題に関する質問を手紙で受け取る企画を実施し、ベンヤミンによる架空の家に届けられていた。
同じく、ベンヤミン・ファードンクによるパフォーマンスビデオも見せていただきました。
上記したプロジェクトのなかには、日本でも宝くじの収益金がアート活動(美術館とか)に使われているように、ロトによる助成を受けているものがあるそうです。
ベルリンのアート情報が聞けて大変充実した内容でした。
▲学生の質問に応じる かない氏
学生たちも質問したりと、興味津々だったと思います。
またベルリンの情報とは別に、レクチャーの最初に見せてくださった、かない氏が中学生のときに作成したノートには、驚きました。展覧会のチケットを貼り、ポストカードを買ってきてその作品について調べたことがまとめてありました。こうしたことが、今のかない氏につながっているのかもしれません。興味があることについて調べてまとめる・・・みなさんも、これからまねしてみてはいかがでしょうか。
それでは。
0 件のコメント:
コメントを投稿