芸術表象論特講 #7
6月17日に行われた第7回のレクチャー、ゲストはアーティストの榎本浩子さんです。
榎本さんは女子美術大学、そして大学院の洋画研究領域を修了しており、現在は働きながら制作を続けています。近年では主にインスタレーション作品を制作しており、2015年の群馬青年ビエンナーレでは、275名406点の応募作品の中から大賞(グランプリ)を受賞されています。
レクチャーでは、作品にも大きく関係している榎本さんの暮らしと、これまでの作品や展示を時系列に沿って振り返りながら進められました。今回はスライドで映された写真を中心にレクチャーの様子を紹介したいと思います。
群馬県伊勢崎市出身の榎本さんは、子供の頃から絵を描くことが好きでよく教科書に落書きをしていたそうです。担任の先生から美術大学を勧められ、高校3年の夏から予備校に通われたとのことで、受験まで短い期間ながらも現役で女子美の洋画専攻へ入学されています。
大学では卒業制作の作品が奨励賞を受賞されていますが、榎本さんいわく疑問を抱きながら制作を続けていたこともあり、評判の高さとは裏腹に受賞に対しても「自分の作りたいものは、本当にこれなのだろうか」という複雑な思いがあったそうです。
大学院に入ってからは徐々に大きな油彩を描かなくなったと話されており、また作風にも様々な変化があったようで、試行錯誤をしている頃の作品についてもお話がありました。
2012年の女子美アートセンター準備室での個展「ヤマ ヒム アヌ」では油彩作品の展示に加えて、榎本さん自身が会場の一室でドローイングを描き続け、それを壁に貼っていくということを会期中続けられていました。
また、榎本さんがメンバーの一人として活動している「泥沼コミュニティ」についても簡単な紹介がありました。当初は銀座7丁目や赤羽(東京)、塩尻(長野)、土湯(福島)など様々な場所に行って、ワンカップを飲みながら様々な話をするといったイベントを開催しており、2013年には女子美ガレリアニケにて活動アーカイヴと共に展覧会を行っています。
泥沼コミュニティは今年に掛けて神奈川県相模原市の橋本についてのリサーチを進めており、関連したイベントやワークショップが「アートラボはしもと」などで開催されています。こちらについては、また別の機会に詳しくお伝え出来ればと思います。
レクチャーの最後では、群馬青年ビエンナーレでも受賞された小金井アートスポットシャトー2Fでの個展「話したくないこと 英語の勉強 布団を干す」についてのお話がありました。この作品は、家に篭るようになってしまった弟と、定年退職したあと特に使う予定もないのに毎日英語の勉強をしている父を題材にしており、榎本さんが実家に戻った際に夕飯を食べながら弟さんと長く話をしたことがきっかけとなったそうです。
来場者には自分の家にある本を持参してもらい、会場の好きな場所に置いていく代わりに、裏に文章が書かれたドローイングを持ち帰ることが出来るような仕組みになっていました。
6月17日に行われた第7回のレクチャー、ゲストはアーティストの榎本浩子さんです。
榎本さんは女子美術大学、そして大学院の洋画研究領域を修了しており、現在は働きながら制作を続けています。近年では主にインスタレーション作品を制作しており、2015年の群馬青年ビエンナーレでは、275名406点の応募作品の中から大賞(グランプリ)を受賞されています。
レクチャーでは、作品にも大きく関係している榎本さんの暮らしと、これまでの作品や展示を時系列に沿って振り返りながら進められました。今回はスライドで映された写真を中心にレクチャーの様子を紹介したいと思います。
群馬県伊勢崎市出身の榎本さんは、子供の頃から絵を描くことが好きでよく教科書に落書きをしていたそうです。担任の先生から美術大学を勧められ、高校3年の夏から予備校に通われたとのことで、受験まで短い期間ながらも現役で女子美の洋画専攻へ入学されています。
大学4年の頃の作品 当時はこのシリーズを多く描いていたそうで、 現在のドローイングとも何処となく繋がりが感じられます。 |
大学では卒業制作の作品が奨励賞を受賞されていますが、榎本さんいわく疑問を抱きながら制作を続けていたこともあり、評判の高さとは裏腹に受賞に対しても「自分の作りたいものは、本当にこれなのだろうか」という複雑な思いがあったそうです。
女子美スタイル展での卒業制作の展示 |
大学院に入ってからは徐々に大きな油彩を描かなくなったと話されており、また作風にも様々な変化があったようで、試行錯誤をしている頃の作品についてもお話がありました。
大学院生の頃に制作された立体作品 当時、同期生から「榎本が変になっちゃった」と心配されたエピソードがあったそうです。 |
2009年の世田谷美術館区民ギャラリーでのグループ展 ここでも立体的な作品を展示されています。 |
2012年の女子美アートセンター準備室での個展「ヤマ ヒム アヌ」では油彩作品の展示に加えて、榎本さん自身が会場の一室でドローイングを描き続け、それを壁に貼っていくということを会期中続けられていました。
個展「ヤマ ヒム アヌ」会期中に在廊し描き続けられたドローイング 初めは真っ白だった壁面が、最終日にはドローイングで埋まっています。 |
また、榎本さんがメンバーの一人として活動している「泥沼コミュニティ」についても簡単な紹介がありました。当初は銀座7丁目や赤羽(東京)、塩尻(長野)、土湯(福島)など様々な場所に行って、ワンカップを飲みながら様々な話をするといったイベントを開催しており、2013年には女子美ガレリアニケにて活動アーカイヴと共に展覧会を行っています。
泥沼コミュニティの活動で築地に行った際の写真 |
ガレリアニケでの展覧会「遠浅/泥沼」の様子 アーカイヴ以外にも様々なイベントが会期中に行われていました。 |
レクチャーの最後では、群馬青年ビエンナーレでも受賞された小金井アートスポットシャトー2Fでの個展「話したくないこと 英語の勉強 布団を干す」についてのお話がありました。この作品は、家に篭るようになってしまった弟と、定年退職したあと特に使う予定もないのに毎日英語の勉強をしている父を題材にしており、榎本さんが実家に戻った際に夕飯を食べながら弟さんと長く話をしたことがきっかけとなったそうです。
来場者には自分の家にある本を持参してもらい、会場の好きな場所に置いていく代わりに、裏に文章が書かれたドローイングを持ち帰ることが出来るような仕組みになっていました。
小金井アートスポットシャトー2Fでの展示の様子 広いスペースにインスタレーションが展開されています。 |
父親が英単語を練習したノートで作った飾りや、家族の写真、 ドローイングや映像作品などが置かれています。 |
今回のレクチャーでは、この他にも映像作品などを一部上映して頂きました。数年前まで同じ女子美生でもあった榎本さんは学生にとって身近な存在でもあり、色々なアドバイスが得られたと思います。終了後も聴講生から個人的な質問を色々受けている姿が見られました。また、在学中から卒業後まで悩みながら作風が変遷していく経過や、制作以外にもプロジェクトへ参加したお話など、洋画専攻だけに限らず、後輩たちのこれからの制作の幅を広げてくれるような内容だったと思います。
榎本さんのサイトはこちらになります。
レクチャーの中で紹介された作品や展示、活動など
様々な写真も公開されていますので、ぜひご覧になってみて下さい。
様々な写真も公開されていますので、ぜひご覧になってみて下さい。
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