2015年2月23日月曜日

芸術表象論特講#25

こんにちは。寒い寒いと言っていたのに、今日はすごく気温があがるそうで、花粉が心配です。
昨年の12月17日におこなわれました、「芸術表象論特講」25回目のレクチャーについて少し報告したいと思います。
今回のゲストは、アーティストでオルタナティヴ・スペースのオーナーである河口遥さんでした。



レクチャーでは、ご自身が運営されているスペースを中心にお話して頂きました。

河口さんは、武蔵野美術大学を卒業されています。その母校の近くにある古い空き家を使って、「22:00画廊」(じゅうじがろう)というアーティストランスペースを2012年より運営しています。この場所は元々、学生たちがアトリエとしてシェアしていたところでした。内装はリノベーションせずにそのままで、展示する作家によって天井や畳をはがしたりしたら、そのままにして次の展示をおこなっているそうです。

この画廊では、昨年レクチャーで来てくださった原田裕規さん、今年来てくださった二十二会、この日別の授業のゲストで来校していた川田淳さんが展示をおこなったことがあるそうです。

河口さんは、大学に6年半程通いました。卒業したらアーティストにはならないと決めていましたが、作品などはいろいろ見ていたそうです。その中である同級生がすごく面白いことをしていたので、その人と何かやったら面白いのではないかと思い、卒業してから1年後にスペース運営を始めたそうです。しかし、それまでギャラリーに勤めたこともなく、インターンもしたことがなかったという河口さん。ほとんどゼロからのスタートとなったそうです。

これまで13回の展示がおこなわれました。モチベーションも変わらずに続けているそうです。スペースを始めて1回目の展示が終わり、次にとなったのですが、経験も浅く信用もなかったために、展示をお願いしても引き受けてくれる人が現れませんでした。そのため、1回目の展覧会の作家、原田賢幸さんにキュレーションという形で協力してもらい、河口さん自身が展示をおこなうことになりました。その時の経験で、原田さんと活動して、それぞれ方向性が違うことに気づいたり、自分には無い発想やアイデアがあることがわかり、一緒にやったらお互いにわかり合えるのではないかと思ったそうです。

河口さんの展示は学部生の頃に制作した作品も出品したり、生肉の固まりを購入して会期中抱えて過ごすパフォーマンスをされたそうです。肉は空気に触れると茶色くなってきてしまいます。でも赤いのを見せたい河口さんは、肉をめくって赤いところをお客さんに見せていました。めくった残骸は部屋の中に残していくために、どんどん良くない臭いがこもっていったそうです。また、肉の一部を煮込んで来場したお客さんに食べてもらったりしたそうです。最終日、大きな固まりだった肉は、小さくなり、心臓くらいの大きさになっていました。それを河口さんは1人で焼いて食べたのですが、残っていたのは中心部分だったので、さぞかし熟成しているかと思いきや、寝ている間は冷凍させ起きたら取り出して自分の体温で暖める・・・ということを繰り返した結果、思っていたような味ではなく、つまり美味しくなかったそうです。

アーティストになることはやめようと思っていた河口さんですが、やってみたら案外面白いので続けているそうです。blanClassでおこなったイベントは、「あなた」というタイトルで、2人1組になり、お互いの首に手をあてて(絞めるのではなく)、20分ほどお互いのことについて話してもらう。その後に、用意された食材を使って相手のためにサンドイッチを作るというものでした。

他にもいくつか開催されているそうですが、いつも告知する際には掲載する絵を河口さんご自身のお母様が描いているそうです。お母様も河口さんと同じ大学出身で、家族を描いたり日曜画家のような感じで描かれているそうです。河口さんはお母様の絵に興味があるけれど、当のお母様は河口さんの作品に興味はないそうで・・・。

大学在学中に結婚されていた河口さん。そのことについても触れてお話してくださいました。途中で、芸術表象専攻の別の授業を担当している飯山由貴さんや川田さんが、お金と作家活動についてコメントしてくださったり、参加している学生から話を聞いたりしました。

河口さんは、ホワイトキューブではない場所で展示をしてみると、いろいろな発見があり物語が生れやすいとおっしゃっていました。22:00画廊は、始めた1年くらいのときに50年は続けようかなと思ったそうです。焦らず、自分のペースで50年を目標に続けていこうと考えているそうです。行ったことがある人もそうでない人も22:00画廊へ行ってみてはいかがでしょうか。



22:00画廊のHPはこちら

blanClassでのイベントをこちらで見ることができます


それでは。

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