2013年2月6日水曜日

展覧会のお知らせ

こんにちは。雪が降ったので、近くの公園が真っ白になっていました。

現在、大学は春休み中ですが、お知らせしたいことがあります。
我らがN助手による企画展示が開催されます。


遠浅/泥沼|泥沼コミュニティ

会期:2月8日(金)― 2月22日(金) 10:00— 17:00 日曜・祝日休廊
会場:女子美ガレリアニケ(女子美術大学 杉並キャンパス1号館1階)
ガレリアニケwebサイト:http://www.joshibi.net/nike/index.html


アートイベントなどで出会った人々によってゆるやかに始まった活動「泥沼コミュニティ」。多様化する現在のコミュニケーションについて作品や活動アーカイブまたは関連イベントとして展開し、参加者とともに考える機会をつくります。

【関連イベント】
①オープニング・イベント+パーティー「遠浅の沼」
日時:2月9日(土) 13:00−20:00
会場:110周年記念ホール(女子美術大学 杉並キャンパス1号館1階)
※17:00以降は入口が変わります。ご来場の方は2号館受付にてお問い合わせください。

②泥沼トラベル〜杉並〜
日時:2月16日(土)16:30–21:30
場所:東高円寺・新中野界隈
※16:30にガレリアニケから始めます。閉館までに会場へ 起こしいただくか、その後の合流は、泥沼トラベルteitter:@doronuma_travelを参照していただき合流してください。

                  ▲こんな素敵なしおりもあります


女子美術大学は、芸術表象専攻が所属する相模原キャンパスの他に、付属(中・高)、短大、アート・デザイン学科が所属する杉並キャンパスがあります。

相模原からは少し遠いですが、ぜひ遊びにいらしてください。N助手が在廊している日もあります。

それでは。




2013年1月22日火曜日

芸術表象論特講#19

こんにちは。まだ雪が残っていて、道を歩くときに気をつけないと、滑ってしまいそうです。

昨年12月19日におこなわれました、「芸術表象論特講」19回目のレクチャーについて、少しご報告したいと思います。

今回のゲストは、文化人類学者であり、本学教授の原聖先生でした。




大学では「文化人類学」などの講義をされていますが、レクチャーでは授業で話したことのない内容として、「ネアンデルタール人、現世人類、言語」というタイトルでお話してくださいました。

非常に断片的ではありますが、内容を記してみます。

2006年に、ネアンデルタール人の発見から150周年をむかえたそうです。また、科学にはならないということから、1866年にパリ言語学会が禁止した言語起源論の研究が、2000年代に復活。2012年には第1回国際会議で、ネアンデルタールとサピエンスの交替劇プロジェクトがおこなわれました。

ネアンデルタールとは、何者なのか。30〜50万年前に、ホモ・サピエンス種の共通祖先から分かれました。25万年前に進化をし、3万年前を過ぎた頃、絶滅されたといいます。絶滅の原因は、ホモ・サピエンスが4万年前に欧州に拡散したことだとされています。
社会分化、大人数の密集、交易、遠距離の贈与といった証拠がありません。「よそ者」と接触する機会が少なかったようでもあります。35歳過ぎるまで生きていた者はほとんどおらず、かろうじて人口が維持されていたようです。

よく、ヒトとチンパンジーは近いと言いますが、ヒトは約600万年前にチンパンジーと分かれます。ゴリラはその少し前のようです。

私たちは言語を持ちコミュニケーションをおこないますが、動物たちのコミュニケーションに存在しない、「再帰性(recursion)」を備えています。「再帰性」とは入れ子状になる文章であり、無限につくることができます。これが、とっても重要となります。

「原型言語(proto-language)」には、2説あります。1、構成的(compositional)原型言語(単語があり、これに文法が加わったというもの)と、2、全体的(holisitic)原型言語(メッセージからなるコミュニケーション体系)です。この2つの説はいまだに対立をしているそうです。

今の私たち、つまりホモ・サピエンスは、言語のおかげで生き残れたそうです。FOXP2遺伝子の2つのアミノ酸の変化が、発話と言語にとって決定的であったとされています。原型言語(Hmmmmm)の分節化によって構成的言語が出現。Hmmmmmの分節化のときに、新しく見つかった単語を組み替える規則がすでに存在し、文法規則を持つ構成的言語への移行を完了させるために利用出来ました。しかし、全体的原型言語から構成的言語への移行には何千年もかかってしまいました。

ちなみに、上記した「Hmmmmm」とはホモ・サピエンスの言語。ネアンデルタールの言語は「Hmmmm」(全体的Holistic、多様式的multi-modal、操作的manipulative、音楽的musical)ですが、ホモ・サピエンスになると「Hmmmmm」 mimesisが付け加わり、mが1つ増える)となります。

2000年に発表された、アフリカでの20万年前から4万年前までの記録では、人類の行動が徐々に変化したのを示唆し、全体的原型言語が構成的言語にゆっくりと置き換わっていった。そして、ヨーロッパでは4万年前に言語を媒介にした行動(視覚シンボル、骨器、身体装飾、儀式化した葬儀、狩りの強化、長距離の交換、キャンプ地の構造)が突然出現し、ネアンデルタール人からホモ・サピエンスへの交替がなされたのだということです。


 ▲杉田先生の質問を聞く原先生


普段、私たちは息を吸って吐いて、食べて・・・誰かと話したり、何かをつくったり・・・ということを当たり前におこなっています。しかし、私たちヒトがどのように進化を遂げて来たのか。それを考えると、とても不思議な感覚になります。

もっと知りたい方は、原先生がオススメの本を紹介してくださいました。

スティヴン・ミズン『歌うネアンデルタール―音楽と言語から見るヒトの進化』(早川書房、2006)
赤沢威『ネアンデルタール人の正体―彼らの「悩み」に迫る』(朝日新聞社、2005)


それでは。

2013年1月7日月曜日

クリスマスパーティー2012

あけましておめでとうございます。みなさんは、どのようなお正月を過ごされたでしょうか。

昨年のことになりますが、芸術表象専攻では「クリスマスパーティー」をおこないました。

主催をしたのは、いつも「芸術表象論特講」のポスターを制作してくれている院生と、我らがN助手です。

今回は、簡単にですがその様子をお届けしたいと思います。

▲小さいけれど、ツリーも飾りました。 


▲カンパ〜イ!!



 ▲出し物1:洋画専攻の学生(芸術表象専攻の学生と杉田先生)によるパフォーマンス
                                         激しく踊っています


▲出し物2:芸術表象専攻1年生3人によるダンス



▲出し物3:洋画専攻の学生による壇蜜のモノマネ



▲出し物4:院生とN助手によるバイオリン演奏 



 ▲出し物5:院生によるカラオケ(アン・ルイス)



 ▲出し物6:N助手によるカラオケ(ブリーフ&トランクス)
     歌に合わせて、ピアノを弾く動きをしています



会場の飾り付けや食事の準備は、院生を中心に頑張ってくれました。

▲ケーキの代わりに、ホットケーキを使って、お菓子を作っています 


▲サンタ帽子を被る杉田先生 


最後はビンゴ大会で締めくくりました。多くの学生が、景品を貰って行きました。




本年も、よろしくお願い致します。











2012年12月18日火曜日

芸術表象論特講#18

こんにちは。街のイルミネーションがきれいな時期になってきました。

12月12日におこなわれました、「芸術表象論特講」18回目のレクチャーについて、少しご報告したいと思います。

今回のゲストは、アーティストの良知暁氏でした。





「投票」と「質問」とエトセトラというタイトルで、いろいろお話してくださいました。

もともと、大学までは美術に興味を持っていなかったという良知氏。美術を学ぶため、イギリスに留学しました。留学先の学校にある展示スペースで、作品の鑑賞用に配布されていた3Dメガネ(フレームが紙で、レンズが青と赤のあれです)を持って、ギルバート&ジョージの作品を見に行った体験談をお話ししてくださいました。

自身の作品について、ビルの上にある広告板と、選挙のポスターを貼る看板を撮影していたことについてお話してくださいました。そのほか、震災時の記憶を忘れてしまうのではないか。という疑念から、ラジオから聞こえていた「30キロ圏内」という距離を歩くことで得られた身体の疲労という生理的な現象を、記録メディアにできないかと考えようとしたそうです。

また、トークイベントやシンポジウムでの質問を、手を挙げることで、誰もがパフォーマンスの時間を与えられるメディアとして考えてみたり、ご自身でも、そうした場所で質問をするのだとおっしゃっていました。「質問をするためのメモ」を取るようになった良知氏。スライドでいくつかノートのメモを見せていただきました。トークイベントやシンポジウムに行ったとき、メモを取ったりしますが、案外あとで見ないことが多いのではないでしょうか。目的を持って取ると、聞く姿勢も違ってくるのかなと、思いました。みなさんも、試されてはいかがでしょうか。


▲メモについて説明する良知氏


良知氏の活動についてのお話は、当たり前のようなことに対して疑問を持ち、違う視点を提示していただいたような気がしました。

それでは。

芸術表象論特講#17

こんにちは。最近の朝、畑の一面に霜がおりているのを発見しました。

12月5日におこなわれました、「芸術表象論特講」17回目のレクチャーについて、少しご報告したいと思います。

今回のゲストは、編集者の橋本愛樹氏でした。


橋本氏は、「ブリュッケ」という出版社をひとりで経営しています。
ブリュッケの出版物といえば、芸術表象専攻の北澤憲昭先生の著作(『眼の神殿―「美術」受容史ノート[定本]』や『境界の美術史―「美術」形成史ノート[新装版]』ほか)、本学で教鞭をとられている藤原えりみ先生や、足立元先生の著作があります(シンシア・フリーランド(藤原えりみ訳)『でも、これがアートなの?芸術理論入門』、足立元『前衛の遺伝子―アナキズムから戦後美術へ』)。

レクチャーでは、編集業を中心にお話してくださいました。

橋本氏は、ブリュッケを立ち上げて17年ほど、編集者生活は40数年になるといいます。
仕事としては、DTP(Desktop publishing)の状態で、ほとんどの仕事を橋本氏がおこなっているそうです。カバーの装丁もご自身でデザインされているとか。

本は、著者がいなくてもつくることができます。その例として、橋本氏が過去に驚いたという、小学館が出版した『日本国憲法』についてお話してくださいました。日本人が自国の憲法を知らなすぎるということから出版されたそうで、ミリオンセラー近くまで行ったそうです。なかは、文字を大きくし、バックに富士の写真をあしらうなどグラフィックな作りをしているそうです。

「本を作るということは、どう料理するのかと同じこと」という橋本氏。

学生たちに対して、電子書籍が出始めているのもあり、ひとりで出版社をするという進路の選択もありなのではないか、この世界にどんどん入って来て欲しいとおっしゃっていました。

編集業につきたい学生たちは特に、今後を決めるのに良い刺激になったのではないかと思います。


それでは。